皆さん、貝は好きですか?
あと数日で4月も終わり。
英語表記の暦で「R」の付く時期にしか食すことのできない牡蠣のシーズンも食べ収めです。
そして牡蠣に変わってアサリの潮干狩りが楽しめる季節となりましたが、貝が食卓から消えるかもしれないということをご存知でしょうか。
海では規則正しい食物連鎖が行われており、貝は私たち人間だけでなく、海洋生物にとっても貴重な食料です。
そんな貝ですが、調査によると、近年の温暖化などの気候変動で生息地が激減しているとのこと。
国内でも沿岸地域の埋め立てによって、潮干狩りを楽しめる場所自体が少なくなってきているほか、
かつて鳥取では、河口付近の工事が塩分濃度の上昇を招いたことから、シジミが採れなくなったという過去もあるのです。
そもそも貝は貝殻におおわれており、その主成分は炭酸カルシウム。
炭酸カルシウムは、海水の成分である「炭酸イオン」と「カルシウムイオン」から作られるのですが、
海の性質が約pH8.1のアルカリ性だからこそ作られるのです。
しかし空気中の二酸化炭素が増えたことで、海の性質が酸性に。
さらには温暖化で北極・南極の氷が溶けたことも、原因の一つ。
海が酸性になることで炭酸イオン・カルシウムイオンが生まれなくなり、そして貝が生きられなくなっているのです。
このように貝は意外とデリケート。
貝殻だけでなく、塩分濃度やエサとなるプランクトンなど、自身が過ごしやすい環境以外では生きることができないのです。
アメリカのカンザス州立大学では貝が激減しているとの調査を受け、自身が生息する以外の場所でも生きられるかどうかをシミュレーション。
残念ながら、他の場所では貝を含む軟体動物は生きられないとの結果となりました。
しかしただ単に、”貝が食べられなくなる”では済まされないのがこの問題。
浄水器のフィルターのような役割を果たしている貝がいなくなってしまうと、海自体が汚染されることに。
さらには貝がいなければ、貝を主食としている海洋生物もいなくなってしまい、海は汚くて生物のいない広大なドブになる可能性もあるのです。
地球の約70%は海。
その海が、生物のいない汚くてドロドロした水だとしたらどうでしょうか。
想像しただけでも悲しくなりますし、そもそもそこまで環境汚染が進んでしまえば、私たち人間が住める状態ではないかもしれません。
たかが貝、されど貝ですが、食物連鎖に組み込まれた大切なシステムの一つ。
地球温暖化と言われてもピンときませんが、このように現在起こっていることを紐解いていくと、その重大さに気づくのではないでしょうか。