スッキリしないお天気が続くなか、暑い夏から一気に肌寒い秋へと変わりつつあるこのごろ。
そろそろ春夏物から秋冬物へと洋服を入れ替える「衣替え」の時期ですが、衣替えには正式に決められた日があることをご存知でしょうか。
和服を着る方であればご存知かもしれませんが、冬物(袷の着物)の時期は10月1日から。
気温に合わせて調整する洋服とは異なり、和服には厳格に衣替えの時期が決められているのです。
しかしこの”冬物の着物は10月から”と決められたのは、意外にも洋服が一般庶民にも広まってきた明治時代のこと。まだ着物が普段着であった江戸時代の冬物への衣替えの日は、9月9日だったのです。
江戸時代ではなぜ中途半端な9月9日が衣替えの日だったのかといえば、昔は奇数が並ぶ日は縁起の良い節句だったため。この節句に衣服を新しいものへと替えることで、縁起を担いだようです。
しかし明治時代に入り、政府が各仕事に応じた制服を導入したことがきっかけで、冬物へと衣替えの日は9月9日から10月1日へと変更されました。そしてその風習が、現代の学校の制服や和服の衣替えの時期にも反映されたというわけなのです。
このように着物文化がベースにある日本は、世界で唯一衣替えの日が決められている珍しい国なのですが、気候が不安定な現代では、あまり日にちに囚われることは少なくなりました。
けれども日にちに囚われずとも衣替えに選んで欲しい日は、カラッとした秋晴れの日。そして夏物を仕舞う前には、是非とも”湯洗い”を行うことをおすすめします。
衣類を長期保管する際の大敵は、湿気と脂汚れ。
着ていない洋服をそのまま収納するのではなく、一度湯洗いで夏場に染み込んだ汗や脂をしっかりと落とし、天日でしっかりと保管することで、洋服を傷めにくく長期保管することができるのです。
日本では水洗いがほとんどですが、海外ではお湯が当たり前。そのため海外製の洗濯機の多くは高温でも耐えられるように設計されており、なかには90度以上の熱湯での洗濯が当たり前の国もあるほど。お湯で洗うほうが食器に付いた油汚れが落ちやすいのと同様に、洋服の脂汚れもさっぱりと落ちるのです。
さすがに日本の洗濯機で熱湯を使うことはできないため、湯洗いの際はお風呂などに熱めのお湯を張り、そこに酸素系洗剤と洋服を入れて浸け置きした後、洗濯機で水洗いすると良いでしょう。
最近では50度以上のお湯が使用可能な日本製の洗濯機も発売されているようなので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
お湯洗いは生地が痛みやすくなる点がデメリットではありますが、夏場に染み込んだ汗が繊維に残ったまま保管することを考えると、衣替えのときだけでも行ってみることをおすすめします。
来年の初夏、いつもよりも白くさっぱりとした夏物が待っていることでしょう。
※お湯洗いの際は、色物と白物は分けてください。
※お湯洗いが可能かどうか、衣類の表示タグを確認してください。