これからでも間に合う 清き水辺で儚く光る「ホタル」観賞

墨のような漆黒の闇の中をほのかな光を点して乱舞するホタル。
儚げで、幻想的なその姿を見られるのは、主に6月から7月にかけて。

儚げなのは、成虫になってからたったのホタル110日ほどしか生きられないからでしょうか?
ホタルの生態をたとえ知らなくても、そのほのかに点滅する光に癒され、魅せられてしまうのでしょう。

日本では54種類ものホタルが生息。
知名度が高いのはやはり、「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」、そして、「ヒメホタル」といったところでしょうか。
6月頃に見られるのが「ゲンジボタル」です。「ヘイケボタル」よりも大きく、2秒から4秒間隔で光を点しています。
「ヘイケボタル」は7月上旬頃に見られます。淡い光で緩やかに飛びながら光ります。

ホタルの生育条件はかなり限定されています。
まず、第一には水。水がきれいなこと。そして、1年中水が絶えることなく、流れがないこと。
というのも、卵から8月頃に孵化したホタルのヨウチュウは翌年の3月頃までの長い間、水の中で過ごすのです。
夜行性で、夜になるとカワニナを食べて過ごします。カワニナはカルシウムが豊富に含まれている水辺に多く生息しますので、清浄な水というだけでなく水質も重要です。
また、カワニナを食べるのは他にもザリガニや鯉など。そういった生物と共存していない方が餌も豊富というわけです。

3月頃、サナギになる為に水から地上へと登ってきて土の中で過ごします。
この時期は、土は柔らかく乾燥せずに湿っていること。一日中日が当らない場所であることが必要です。

5月から6月にかけて私たちがよく知るホタルの姿に。
ホタルは日なたがとっても苦手です。日差しが避けられ、留まることのできる背の高い草などが生えていなければなりません。そして、街灯などの光さえも苦手。だから、漆黒の暗闇の中を幻想的に点る光を見ることができるのですね。

ホタルの光は求愛信号。ホタル3オスは飛びながらメスにアピールします。
また、メスは草などにとまって光を点しています。そしてカップルになるとメスは卵を産み、そしてセイチュウになってから10日ほどと短い生涯をとじます。

清らかな水と豊かな自然環境の代名詞ともいえるホタル。そのホタルが生息できる環境をつくり守るため、各地でホタルプロジェクトが立ちあげられ、その弛まぬ活動によって私たちは可憐なホタルをみることができるのです。

これからでも間にあうホタル観賞スポットは南指腹ほたるの里(茨城県)、那須フィッシュランド(栃木県)、榛名湖畔(群馬県)、秩父関大池付近(埼玉県)など。いずれも自然発生のホタルを鑑賞することができます。観賞期間は7月上旬から長いところでは8月中旬まで見られる所も。

可憐なその風景に癒されながら、環境や自然について考える機会としても、年に一度足を運んでみてはいかがでしょうか?